もどる

    かけはし2021年4月5日号

権力者の失態隠しの非道糾弾


 

ギリシャ

ディミトリス・クフォディナスを死なせるな!

アンドレアス・サルツェキス




 以下のことは、すでに何回も言われてきたことだ。つまり、政治ポストをつかみ取っている裕福なブルジョアジー一族の末裔のキリアコス・ミツォタキスの政府は、復讐心に駆られた右翼の政府だ、と。そして、産業と金融の取り巻きに贈り物をシャワーのようにばらまく以外には何の計画ももたず、法の支配と呼ばれているものに関しては最小の恥すら覚えずに、公共サービスの中で残っているものを破壊し、僅かの批判をあえて声にしているものすべてを抑圧している、と。

収監者の権利
根拠なく否認


 その最新の事例は、殺人の罪で終身刑の判決を受けた「11月17日事件」グループの1メンバーであるディミトリス・クフォディナスの、法の求めのように、アテネ郊外にあるコリドロス刑務所に戻すようにとの求めに対する拒絶だ。クフォディナスは、この要求を貫徹し、1月8日にハンガーストライキを始めた。
 ミツォタキス周辺の弱体なチームは、この拒絶のための根拠薄い法的正当化に身を隠し、彼をアテネから遠く離れた高度に警備を強化された刑務所にとどめ続けている。これは、真の問題を提起している。すなわち、当局側のこの殺人的な酷薄さはなぜなのか、と。それは、首相の義理の兄弟だった、テロリストグループの犠牲者の1人に、一族の復讐を求める切望として差し出された、と解釈されている。
 しかし、「復讐の古い伝統」という脈絡でミツォタキスが利用する可能性もあるこの説明は、持ちこたえられるものではない。一方で、犠牲者の遺された妻であり、元外務相のドーラ・バコヤニスは今、法が尊重されるよう求めている。
 そして何よりもその理由は、ますますはっきりしつつあることだが、この極右が――大手メディア経営者に差し出してきたあらゆる贈り物にもかかわらず――情勢に、特に保健衛生戦線の情勢に対処できなくなっていることをもはや隠すことができなくなっている、という事実から注意をそらすため、ということであるからだ。何しろそこでは、ケア労働者を新規募集し、ベッドを開けることへの政府の拒絶が、極めて深刻な状況へと導いている。実際、アテネ地域に残された救命病床の空きは今12しかないのだ!
 世論調査は、支持率の急速な下落を示し、右翼は自らバラバラになり始めている。そして、ミツォタキスと極右の諸閣僚(特に元ファシスト組織の指導者だった内務相)が今追い求めていることは、保守勢力と極右過激派を密着させることで自らを生き返らせることだ。この中でクフォディナスは、この冷笑的な戦略のいわば理想的な犠牲者に十分なり得るだろう。

予想可能な犯罪
連帯して阻止を


 偉大な戦略家(彼のファンクラブの一部によってまじめにモーゼスとのあだ名を送られた)ミツォタキスが予想しなかったことは、囚人のクフォディナスのまさに主張が、急進的左翼、リバタリアン、また全アナーキスト運動からだけではなく、シリザ、KKE(ギリシャ共産党)からも、さらにパソク(新名称のキナルの下で)(長らくギリシャの主要社会民主主義勢力だった:訳者)からさえも支持を受けることになる、ということだった。
 そして何よりも、人権、今回は囚人の権利、に対する尊重を求める社会運動の相当な部分もある。学生運動、公務部門の全国連合であるADEDY、全国海員組合、諸々の弁護士連合(特にピレウスの)そして裁判官連合と微罪判事連合まで、今や水を絶つストライキを始めたクフォディナスの死を止めようと決起に入っている。そしてそこでは、そうした人権否認に連なることを拒否している、権力の一部である右翼メンバーもいることを忘れるわけにはいかない。
 早々に行われた最初の集会は、警察から即座に催涙ガスを浴びせられ、殴打を受けた。しかし近頃では憤激が、数千人のデモ隊が、警察が止めることができずにアテネで行進を続けるほどまでになった。結果として当局は今、フェースブックのページを「閉鎖」する(フランスの多国籍企業、テレパフォーマンスを通じて)ことによって、抗議を黙らせようと試みている。中でも標的は、シナンディッシという組織のウェブサイトだ。
 サッチャーにより有罪判決を宣告されたボビー・サンズと彼の同志たち以後での、ハンガーストライキによる欧州の土地での最初の死を止めるために、国際連帯が急を要している。医師たちは、今後の日々を非常に悲観している。この予想可能な犯罪を阻止するために、人権尊重、囚人の権利に対する尊重を求めるわれわれの声を、あらゆるところに届けよう。(2021年3月1日)

 第4インターナショナル国際委員会は、以下の緊急動議を2021年2月23日に採択した。

 第4インターナショナル国際委員会は、今年1月8日以来ハンガーストライキを行ってきた政治犯、ディミトリス・クフォディナスの公正な要求の履行を緊急に要求する。ギリシャ政府が即時の行動をとらないならば、彼の生命の喪失、あるいは彼の健康への取り返しのつかない損傷、が差し迫ったものになる。
われわれの要求。
▼彼をコリドロス刑務所に移送すること。
▼彼に対するあらゆる恣意的な介入や事実上の介入の停止。
▼彼に対するあらゆる差別的な処遇の停止。

▼筆者は、(「インターナショナルビューポイント」2021年3月号)  


もどる

Back